ストーリー
石川県金沢市で孤独に暮らす元刑事の西村とら男は、唯一迷宮入りさせてしまった「女性スイミングコーチ殺人事件」を終わらせられずにいた。
この事件は、1992年9月に20歳の新人コーチの千穂が殺害された事件で、彼女が勤務を終え職員駐車場を出た約90分後、同じ場所に彼女の車が戻され、その車内で遺体が発見されたという奇妙な事件だった。また、彼女の髪に絡まったメタセコイアという珍しい植物からすぐに殺害現場が特定され、現場には被害者の靴が残されるなど証拠も多かったが、なぜか犯人が逮捕されないまま事件発生から15年後の2007年に時効を迎えてしまったのだ。
そんなある日、とら男は、行きつけのおでん屋で東京から来た大学生のかや子と出会う。かや子は、授業で偶然聞いた「生きた化石」という別名を持つメタセコイアに自分を重ね、卒論のテーマに選び、調査をするために金沢に来ていたのだ。そこで、とら男からメタセコイアの関係する古い殺人事件があったと聞き興味を持ち、翌日から事件を調べ始めるかや子。
時効になり、誰からも忘れられている化石のような事件がゆっくりと動き出していく。